色川のわらぞうりが支える火祭り

7月14日、「ハーリャ」「ハーリャ」と那智山から掛け声が響いてくる。この日、熊野那智大社の例大祭、「那智の扇祭り」(那智の火祭り)が斎行された。

朝7時、那智山周辺の集落から続々と扇神輿を担ぐ氏子たちが集結。この祭りは、年に一度12体の熊野の神々を扇神輿に遷し、那智大社から那智の滝へ里帰りするもの。12体の扇神輿は那智の御滝の姿を表し、1体を4人で担ぎ、那智の滝まで練り歩く。著者もその中の一人として参加している。

しかし今回は陰の立役者を紹介したい。これがなければ祭りが成立しないといっても過言ではない。それは氏子たちが履く「わらぞうり」。色川で結成された「藁笑(わらわら)いろかわ」が丹精込めて製作したものだ。そんなことは露知らず、氏子たちは口々に「少し小さいな」「形はいいんだけど指が入らない」「鼻緒の部分が先端過ぎて指で踏ん張れない」と言いたい放題。だが、例大祭が始まると関係なし。酷暑の中、無事に神事を執り行うことができた。このわらぞうり。この日限りで役目を終えて焼却されてしまう。どことなく寂しいが仕方がない。来年はより履き心地のいいわらぞうりに出会えることを期待したい。