私(田中宏幸)が地域おこし協力隊で活動していた時、色川の地名について調べました。色川には、ほかの地域よりもたくさんの地名(小字)があります。それらの地名は、色川の祖先の人々が長い年月をかけて受け継いできた土地の名前です。それらの地名を調べていく中で分かってきたことは、土地の名前には由来があるということです。たとえば、「窪(久保)」という地名は、「陥没したり崩れたことがある」ということや、「サンズイのつく土地は水に浸かりやすい」など。ほかにも、「宮の前」や「寺の上」など寺社を目印にした地名や、「弁才天(べだいと)」「秋神」「仏の洞」など、神様にまつわる地名。「上地平」「鳴子坂」など土地の特徴を表す地名。これらの地名は、かつては日常会話で使われていたが、今ではそのほとんどが使われなくなってしまいました。
現在よく聞く地名の表し方は、「○○さんの家の前」や「県道沿いをしばらく行ったところ」などではないでしょうか。○○さんが分からなければ説明できないし、かといって、「大野××××番地」と表しても地図がなければ分からないですよね。
きっと、昔の人は「『蕨野』で集合」と言えば、みんなが間違えずに集まり、災害の時も、「『赤瀬』が危ない」と言えば、みんながそこには近づかないようにできたのだと思います。それって、すごく便利ではないですか?それに、スマートでしょう?このような地名が使われなくなって消えていってしまうのは、非常にもったいないと思います。
大野区では、それらの地名を見直そうとして、地区内に5カ所、地名の看板を設置しました。普段から目にしていると、自然と覚えていくと思われるからです。大野区を車で移動するときは、注意してみてください。5カ所見つけることができたら、きっとその場所の名前も覚えてくださいね。そして、読み方が分からなければ、大野の友人にお聞きください。さて、問題です。「和籠」は何と読むでしょう?