小阪に葉ボタンの名所

那智勝浦町井関から県道43号線(那智勝浦―古座川線)を奥へ走ること約15分。色川へ来た人を迎える、ささやかな葉ボタンの名所があります。道路の両脇にずらっと並ぶ約100株の葉ボタンを栽培するのは、小阪の西浦勉さん。
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葉ボタンを育て始めたのは50代のころ。注文を受けて花壇やプランター用に作り、余った苗を自宅前の県道沿いに植え続けてきました。通行者の目に留まるよう、道の反対側にも並べ始めて10年ほど経ちます。

葉ボタンの色が最も冴えるのは、寒さ厳しい1月ごろ。暖かくなるにつれ色はあせてきますが、これから4月頭にかけて、高さ1メートルに伸び、花が咲くのも見ごたえがあります。

一番難しいのは苗づくり。7月末に種をまき、キャベツなどと一緒にハウスで育苗します。徒長を防ぐため水は極力控え、竹串と接木用クリップとで1本1本支柱をします。「失敗を重ねて慣れてきた。今でも油断できんのやよ」と西浦さん。昨年は500株ほど作り、主に12月、花壇用や生花用に販売しました。

道路沿いに植えるのは、言ってしまえば売れ残りです。それぞれの欠点はありますが、通りすがりにぱっと全体を見て映える植え方を工夫しています。高さをそろえたり、交互に種類を混ぜたり、通る人から見やすいよう道路側に傾けたり。ひと手間かけることで、余りものだった苗が生き返り、人に喜ばれるようになります。「苗を買ってまではできないが、自分で作るからこんなこともできる」。いきいきと語る西浦さんは、この時期の葉ボタン同様、これから花が咲くかのようです。