お釈迦さまの誕生を祝う花祭りが、4月8日、小阪地区・龍興山南泉寺で行われました。花祭りは「灌仏会」ともいわれ、花御堂の中に安置された誕生仏に甘茶をかけてお祝いします。小阪地区(28世帯47人)では、人口が減少・高齢化する中でも、住民の手によって守り続けられている伝統行事です。
前日の7日、今年の寺役である西浦正さん・育子さん、中西信枝さん、大前正直さんの4人が準備のために集まりました。まずは花御堂作り。桜、ツツジ、レンゲなど、この時期に野山に咲く色とりどりの花を摘み取り、小さな御堂の屋根にはり付けます。もとの屋根が見えないほど花で覆われた美しい御堂ができ上がりました。
男性陣が寺の掃除をしている間、女性陣はだんご(おはぎ)作り。「昔はこの辺にくど(かまど)があったよ」と話をしながら、炊飯器で炊いた1升分のもち米で、つぶあんときな粉の2種類のだんごを握ります。参拝者に振る舞うためのものですが、「こんなにようけ作っても、人少ないから余るやろね。来年は1升もいらんで」とのこと。アマチャの葉を煎じて作る甘茶は当日の朝用意するので、この日の準備は終わりました。
翌8日は夕方までに参拝すればいいのですが、ほとんどの住民が早朝に済ませるそうです。手のひらに載るほどの小さいお釈迦さまに甘茶をかけてお参りし、甘茶とおはぎをいただきます。皆、子どものころから参りに来たといいますが、小阪にはもう子どもの姿がありません。甘い甘茶が、ほのかに苦く感じられました。
(執筆:たき)