昔の暮らしを語り継ぐ

色川を語り継ぐ会

失われつつある、先人たちの文化や歴史を記録し、少しでも後世に残していこうと活動している「色川を語り継ぐ会」。発足以来、不定期でお年寄りに話を聞き、その内容を記録、保存してきた。しばらく活動を休んでいたが、9月8日、久しぶりに会が開催された。

今回話を聞いたのは、檜曽原に住む潮崎辰雄さん、初枝さん夫妻。2人とも年齢は90才を超え、色川でも一二を争うご長寿夫婦だが、まだまだ元気いっぱい。会は2時間を超える長丁場になったが、笑い声が絶えず、昔の話をたくさん聞かせてくれた。

内容は、檜曽原の昔の環境、これまでの仕事、行事などなど、実にさまざま。初枝さんの結婚式は、井関で頭を結った後、2時間かけて檜曽原まで歩いてきたといったエピソードも飛び出し、みんなを驚かせた。実体験に基づいた生の声は、その情景まで頭に浮かんでくるようで、参加者はみな興味深く聞き入っていた。

「昔はよかった」というより「昔はえらかった」という話題のほうが多いが、便利ではなかった時代だからこそ、人の営みが力強く、2人の元気にもつながっているのではないだろうか。「この年でも、好きだからつい野菜を作ってしまうよ」と話す初枝さんを見ていると、こちらまで元気になってくる。その働きぶりには、話を聞いただけでも、頭が下がるばかりだ。昔の話に耳を傾けることには、歴史や文化の保存だけでなく、今に生きるたくさんの知恵や力の源が含まれている。

色川を語り継ぐ会