16g×365日=5840g。これは味噌汁を毎日1杯飲んだと仮定した時の、味噌の年間消費量。実際には4人家族だったり、一人暮らしでも味噌汁は2日に1回しか飲まなかったり家庭によって消費量は様々だろう。
南平野婦人会は9月6日・8日の2日間にわたり、講師に蜷川ヨシ子さんを迎え、一人当たり4キロ、総量32キロの味噌を共同で仕込んだ。参加したのは味噌作りを初めて体験する田中ベロニカさんら20代から、各家庭で味噌を作っていた時代を知る80代まで10人。麹用の米は井上照子さんから提供され、麹菌と大豆は三由米穀店で購入した。
6日はまず米を蒸すところから麹作りが行われ、8日は親指と小指で簡単に潰せるくらい柔らかく煮た大豆を各自持ち寄ったところから味噌作りがスタート。大量の大豆を潰す作業は餅つき機が担当。4回に分けてあっという間に滑らかなミンチ状に。あらかじめもろ蓋の中で麹と塩を丁寧に混ぜ合わせ、これを先ほどの大豆とまんべんなく混ぜ合わせる。これを団子に丸め、各自用意した保存容器に空気が入らないよう力いっぱい投げ入れる。「味噌作りは夫婦喧嘩の後にやると良い」と聞いたことがある。なるほど、納得である。出来上がったばかりの味噌の上に蜷川さんが持参してくれた去年の味噌で蓋をし、カビ対策も万全に。
麹の仕込みから数えておよそ3日。一人でやるとなると時間もかかり大変な味噌作りは、共同でやると終始会話が途切れることなく和気あいあいと作業もはかどる。
その後はお待ちかねのティータイムとなった。味噌を作る横で合間に作っておいた芋の茎の佃煮と、参加者が持ち寄ったおこわ・ケーキなどをみんなで歓談しながらいただく。それぞれのカバンや風呂敷包みの中には、麹菌の助けを借りて発酵を待つ出来立て味噌が大事に納められている。南平野婦人会の女性たちはもしかすると、麹のように小さな存在かもしれないが、ゆっくりと活動を続けるうちに自分たちの暮らす地域を除々に醸し、時がたてばやがて熟成味噌のような深い味わいを出すようになるかもしれない。