ホタルが見ごろ

闇の中をすべるように飛ぶ、静かな青白い光―今年も、ホタルが色川に姿を見せ始めました。昔に比べて今はだいぶ減ってしまったと聞きますが、多い日には千匹ものホタルが舞う口色川随一の名所もあります。色川花木園芸組合代表、平岡靖敏さん宅の畑です。
–pagebreak–
同組合では5年前から、ホタルを増やす活動に取り組んでいます。ホタルの名所として有名な熊野市五郷町を視察し、色川の中でもホタルの多い場所を観察して、ホタルの生態や増やすコツを調べました。初めは卵をかえして増やそうとしましたが、思うようにいきません。そこで、まずはホタルの好みそうな小川や水路に、えさとなるカワニナという巻貝を増やすことに努めました。紀南一帯の各地から、少しずつ集めてきたカワニナを放し、コメや野菜のくずをえさに与える活動を続けてきました。

そもそもは円満地公園をホタルの名所にしようと取り組み始めましたが、なかなかカワニナが増えません。その代わり、実験を重ねた平岡さんの自宅付近でカワニナが繁殖し、ホタルが増えてきました。今年は例年より半月ほど早く、5月20日ごろから飛び始め、数も多いそうです。

見ごろは6月上旬。暖かい闇夜、暗くなり始めてから午後9時ごろまでが観察しやすいです。大きくポワーッと光るのがゲンジボタル、小さくチカチカと光るのがヘイケボタル。平家の隠れ里・色川で、源氏と平家の競演が楽しめます。
(執筆:スノッチ)