サルからの便り〜対策のヒント〜

オジロ用心棒

「拝啓 色川の住民さま、季節も夏に移り代わり、暑さが増してきております。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。私たちは春先に家族が増え、にぎやかな生活を送っています。今年の夏は猛暑とされています、お互い気を付けましょう。

さて、畑や田んぼに目をやると、夏野菜がたわわに実り、稲にも穂が付き出すいい時期がやってまいりました。私たちが里へ顔を出すことも多くなることでしょう。

特に、皆さんがまだ寝静まっている早朝や、お昼ご飯を食べられているとき、私たちは藪にひそみ、あなたたちの様子をいつも観察しています。

昨年から使われている5連発の花火の音は、鉄砲と間違えるほどの大きさでとても怖く、撃たれたときはたちまち逃げたくなるものです。

また、小阪の田んぼに張ってある「オジロ用心棒」には驚かされ、昨年は全く太刀打ちできませんでした。ワイヤーメッシュと電線の間隔を10cmくらい開けてくれたら入れるのですが、5cmは入れる気がしません。どうにかならないものでしょうか。

私たちの最大の能力は、慣れと学習と自負しています。大きな花火の音も、いずれは慣れてくるでしょう。しかしどうしても恐ろしいものが一つあります。それは色川の皆さんです。皆さんが直接山に入って向かってくるとき、本当に恐怖を感じます。特に、何もしてこないと決めつけている女性やお年寄りが突然山に向かって花火を撃ってきたら、驚きを隠せません。それでも私たちは里へ下ります。そこに美味しい食べ物があるから。敬具」

サルからの手紙を読んで対策のヒントが見えてきた。それは、「隠れ家となるような藪をなくすこと」「サルに効果的な柵を設置すること」「その上で追い払いを行うこと」。人が山に一歩でも二歩でも近づいて花火を撃てば、それだけ慣れも起こりにくくなるようだ。

今年もたくさんの有志で、8~9月の2カ月間、サル追い隊を結成している。隊員の力、住民一人一人の力を合わせて、サルにとってより居心地の悪い色川に!