小阪区の「亥の子祭り」が11月1日に行われた。この祭りは、旧暦10月(亥の月)の最初の亥の日に行われる。一般的には、新米にその年に収穫した大豆・小豆・ささげ・ごま・栗・柿・糖(あめ)の7種類の粉を混ぜて、亥の子、つまりイノシシの子ども(うり坊)の色や形を真似て作った「亥の子餅」を食べ、万病除去、子孫繁栄を祈ったり、地域の家の前で歌を歌いながら地面をついて回ったりする。
小阪区では、午後6時ごろから始まり、竹にわらをくくりつけたもので一軒一軒、家の前の地面を歌を歌いながらついて回った。今回は上の班と下の班に分かれて回ったが、人が少ないときは全員で上から下まで回っていた。最後は集会所にみんなで集まり、歌いながら地面をついた。
亥の子祭りの歌は地方によってさまざまで、小阪区で歌われていた歌には那智の山や、那智の滝についての歌もあった。私は特に「那智のお山にヨ・・・ 尾のないキツネ ソラ尾のないキツネ ワシも二度、三度 ノホ ホイ ホイ ソラ だまされた オモシロヤ・・・」という部分に心惹かれた。静かな秋の夜に響き渡る歌声と地面をつく音はどこか不思議で落ち着くものだった。
昔は西日本を中心に全国各地で盛んに行われていたこの祭りは、今ではあまり行われていない。色川でも昔は各地区で行われていたそうだ。人口の減少、高齢者の増加などで消えつつある亥の子祭りだが、次の世代に伝えていきたいという小阪区の住民の強い想いによって、この祭りの存在とその面白さがたくさんの人に伝わっていくのではないだろうか。