今年も新春初笑い!雪夜の色川寄席

色川寄席

正月遊びの福笑いをはじめ、日本の正月に「笑い」は欠かせない要素のひとつ。テレビには落語や漫才の番組が増え、各地演芸場にも人があふれるという。

1月14日、色川でも、山里文化クラブ(外山哲也代表)主催の「色川寄席」が口色川会館で行われた。駆けつけた噺(はなし)家さんは、毎年恒例、5代目桂文三(ぶんざ)さんと桂雀喜(じゃっき)さんだ。

8回目となる今回も、まずは南平野の浦勝良さんが前座を務める。踊るのは江戸芸かっぽれ。愉快な動きで、会場を盛り上げる。

一席目は、文三さんによる「芋俵」。昨年、上方落語界の中堅・若手にとって最も名誉ある賞「繁昌(はんじょう)亭大賞」を受賞し、名人への階段を昇り始めた文三さん。まくら(導入として話される小話)からグイグイ聴衆を惹き付ける。「カンカンッ」と軽快な拍子木の音を合図に、一瞬にして壇上には泥棒2人組、口色川会館は江戸時代に。間抜けな泥棒たちのやり取りに笑いが止まらない。

特に面白かったのは、途中から仲間に加わる阿呆の与三郎。文三さんの表情が天下一品で、小さな子どもたちからもけたけたと笑いが起こる。俵に隠れた与三郎が「ぷう」とおならをするオチでは、会場全体がどっと笑いに包まれた。

二席目は雀喜さんが「皿屋敷」を演じた。美人の幽霊が大評判の見せ物になってしまうという噺だが、雀喜さんには女幽霊の役がよく似合っており、妙な色気が。終わったあと「1、2枚…」と女が皿を数える様を子どもが楽しそうに真似ていた。

三席目、再び文三さんが登場し、30分を超える大ネタ「崇徳院」を披露。高座にいるだけなのに、江戸の町を駆け回る熊さんの様子が伝わってくる。いきいきとした人々の掛け合いにあっという間に時間が過ぎ、大盛況で幕引きとなった。

当日は雪がちらつき、この冬一番の寒さ。例年より観客の数は少なかったが、文三さん・雀喜さんの芸の力で、会場は温かな笑いに包まれた。笑う門には福来る。寄席で住民みんなが笑った分、今年の色川にはたくさんの福が訪れるに違いない。