住民主体でサルの追い払い活動

今年もサルとの戦いの幕が開けた。7~9月の3カ月間、30人ほどの住民が日替わりで追払い活動中だ。朝早くから、昨晩の寝床の位置を頼りにサルを探しに行く。車載のアンテナで反応が拾えたら、指向性アンテナ(電波の飛んでくる方向が分かる)に切り替え位置を特定する。その扱いは慣れたもの。特定したら、付近への周知に加え、Eメール配信を行う。一斉送信で放たれたメールは60軒の農家にリアルタイムで届く。

これを仮に色川モデルとすると、よくあるケースはこうだ。市町村に雇われた言わば専門で取り組む人が、毎日寝床の調査を行い、一方通行でメール登録者に通知する。付近の住民はそれを見て自衛のための追い払いを行う。つまり隣の集落まで出て人の田んぼの追い払いをしているところはまずない。

サルに集落の境界線など関係ない。そもそも集落間連携が重要なサル対策を完全に住民主体で行っている色川モデルは全国的に珍しく、先進的な取り組みだ。獣害対策、サルとの戦いに終わりはない。ただサルとの共存は可能で、目指すところでもある。対策のゴールを見定めることが、継続する上で重要なことかもしれない。