口色川の守り神・地蔵様の祭り

熊野古道・大雲取越の中間あたりにある地蔵堂。32体の石地蔵の前で、口色川区の住民が御詠歌を詠む声が、堂内から聞こえてきます。冷たい雨がぱらつく中、口色川の地蔵祭りが10月24日に行われました。
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地蔵茶屋跡と呼ばれるこの場所には、大正時代まで茶屋があり、今は休憩所が置かれています。1707年に泉州・境の商人が寄進したとされる地蔵は、もともと33体ありましたが、1体は戻してもいなくなってしまうという不思議な言い伝えがあります。また、口色川の守り神とされ、昔、色川で伝染病が流行り、多くの人が亡くなったとき、「口色川で1人の死者も出なかったのは、地蔵様のおかげ」と信じられています。

代々、口色川の人々がまつり、毎年10月24日には住民が集い、那智山青岸渡寺の住職により法要が営まれます。また、参拝者にお神酒が配られ、餅まきが行われます。今は口色川区の中心から地蔵堂まで車で40分ほどで行けますが、道路ができるまでは、「朝4時ごろから小灯し(ことぼし)つけて、山道を歩いて行った」そうです。

地蔵祭りの後は、口色川区の宝泰寺で、合同年忌と斎講、餅まきが行われます。今年も檀徒ら約25人が集い、前日から用意していたまぜごはんやササゲの赤飯、芋餅などの食事を共にしました。
(執筆:たき)

地蔵堂で行われた法要