夏の終わりを告げる地蔵盆 小阪区

 毎年、小阪で行われている「地蔵盆」。もともとは、毎月24日が地蔵菩薩の縁日と定められていて、そこにお盆と街角などにあるお地蔵さん、いわゆる道祖神信仰とが結びついて、旧暦の7月23日頃に行われてきたのが地蔵盆だそうだ。
 信仰がさかんなのは近畿地方のようで、中近世以降、地蔵菩薩は子どもの守り神として信仰されるようになった。そのつながりで、とくに子どもがお地蔵さんを詣でたり、大きな数珠を回したりするのが習わしという。
 小阪区では、大人もこの数珠回しをする。17時半ごろから住民の皆さんが集まり、18時には念仏講の般若心経に合わせて「数珠回し」が始まる。数珠のなかでも球が大きなものが回ってきたら、少し持ち上げて祈りを捧げて隣へ回す。これを各々のペースで数珠を回しながら、お経が終わるまで繰り返していく。数珠はよく見ると少し欠けていたり、飴色に変色していたり、色が薄くなっていたりと、毎年使われてきた年月を感じる。「これまでこの数珠を何人の人が回してきたのだろう?」そう考えると、その傷や色の変化ひとつひとつがとても大切なものに思えてくる。
 「今年は人が少ないねえ」。同月に行われた施餓鬼でも聞こえてきた声。参加できる人が少しずつ減ってきて、ここ数年復活した盆踊りができなかった寂しさを感じる一方で、今年も寺役の皆さんお手製のあんもちが振る舞われた。続けることの大変さと、今確かに行事が続いていることへの感謝とがないまぜになった複雑な心境で、おいしいあんもちをいただいた。地蔵盆が過ぎると今年の夏も終わっていく。