ニオイショウブを出荷

「こんな小さな村にも胸張って日本全国へ送れる産品があるんや」
色川で林業や林産物の生産を営む新宅伸一さんは、ニオイショウブを収穫しながら、そう話し始めました。–pagebreak–

4月下旬、ニオイショウブの出荷が最盛期を迎えました。5月初旬までの約1週間、休む間もなく出荷作業が続きます。ニオイショウブは葉にほのかな芳香があり、5月5日の端午の節句に「菖蒲湯」として使われます。

新宅さんがニオイショウブの栽培を始めたのは6年前。住民が色川に自生している別種のショウブを見て、産品として新宅さんに提案したことをきっかけに取り組み始め、色川での栽培・出荷の方法について試行錯誤を重ねてきました。

「最初はだれに聞いても教えてもらえんし、見様見真似でやって失敗もあった」が、それでもあきらめずに毎年出荷し続け、今年は「何万本でもいいから、あるだけ送ってほしい」と注文がありました。

「色川のニオイショウブは、根元の赤色が鮮やかできれい」と高く評価されています。新宅さんは色川の水がニオイショウブの生育に適しているからではないかと考えます。

新宅さんは、「仕事がないために若者が出て行く、帰って来ない」という現状から、「何とか地域に産業を増やしたい、地域を活性化したい」との思いで仕事おこしに尽力しています。ニオイショウブも、地道な努力が実り、色川の産業の一つに成長しました。1日に5000本、今期は2~3万本の出荷を目指します。

新宅さんは「これからも仕事おこしや地域おこしをしていき、高齢化や過疎化の問題を解決していきたい」と意欲を見せています。
(執筆:たき)

ニオイショウブをそろえる新宅さん