楽しく踊って元気に

「手を伸ばして、胸を張って、姿勢をきれいにして。そしたらかっこええよ。ハイ、1、2、3、4、5、6、7、8…」

夏休み中の静かな色川小学校の講堂で、数人の女性たちが踊りの練習に励んでいます。–pagebreak–山上の色川でも日中は蒸し暑いが、開け放した窓から、時折心地よい風が吹き込んできます。

毎月第3木曜日は町公民館踊り教室の練習日。宇久井在住の田中玲子先生(80)が上がってきて、40?70代の8人の生徒を指導します。50歳のときから藤木流の舞踊を学び、色川の踊り教室を任されて5年目。上品に着物を着こなし、優雅に踊る姿は、80歳にはとても見えません。

今年のテーマは民謡で、6月から「下津井節」という岡山県の民謡を練習中。その後には「串本節」を予定してます。

練習は午後1時半から、途中休憩をはさんで、3時まで。前半は、先生も前で一緒に踊って見せ、生徒たちだけで踊れるようになると、生徒の動作からじっと目を離さず、何度も繰り返して練習します。生徒に分からないところがあれば、一人一人分かるまで丁寧に教えます。生徒たちは「先生が気長に何度も教えてくれるから、続けられる」と言います。

こうして練習した成果は、「色川大文化祭」や小学校の学習発表会などで披露されます。「発表の場があるので、みんながんばってくれるし、やりがいがある」と田中先生。

10年以上、教室に参加している生徒の一人は「皆さん、根っから踊りが好き。そやから長続きする」。別の一人は「色川で開いてくれるので、参加できるし、楽しませてもらえる。地の人たちでできることがうれしいし、末永く続けられたら」と言います。

また、特に高齢の生徒たちにとって、小学校や子どもたちとは疎遠になりがちですが、踊り教室のおかげで、練習や学習発表会への参加を通じて子どもたちと触れ合う機会ができることが何よりうれしいそうです。

田中先生は「日頃の仕事の疲れを忘れて、とにかく楽しく、愉快に踊って、老後も元気に健康で過ごしてもらいたい。私も月に一度、ここに来るのが楽しみ」とほほえみます。

この日初めて参加した南平野区の女性は「奥(色川の中部・西部地区)の人となかなか会うことがないので、誘ってもらえてよかった。また来月も参加したい」と喜んでいました。

「生徒さん、大歓迎。実際にやってみなければ、楽しさが分からない」と皆が口をそろえる同教室では、受講者を募集しています。
(執筆:たき)

練習の様子。「踊りだけでなく、休憩時間の雑談も楽しみ」と生徒の皆さん