皮なめしの「皮革研究会」発足

今春、シカやイノシシの皮やイタチなどの小動物の毛皮の加工を研究する「皮革研究会」が発足した。筆者の毛皮のアクセサリーを作ってみたいという趣味程度の思い付きから始まったもので、いつの間にか同じ考えを持つ者同士が集まり、今では色川内外合わせ10人が参加している。ここではカッコつけてメンバーのことを「研究員」と呼ばせてもらいたい。

4月9日に第1回皮革研究会のゼミ(ただの雑談会)が開かれた。研究員の一人から「白なめし」についての話が上がった。1000年以上の歴史があるこの白なめしは「姫路レザー」とも呼ばれ、化学薬品を一切使わず、乳白色に仕上がることが最大の特徴だという。

4月から試作を始めたシカ皮の白なめしは、その工程も一風変わったものである。まず毛皮を清流に漬け、自然のバクテリアで毛を落とす。川に漬けるだけで毛がスルスルと抜けていく様子は気持ちがいい。次に、ミョウバンと卵と小麦粉をこねて作ったなめし剤を皮に塗りつける。卵と小麦粉を使うのは化学反応による殺菌・保温などの効果を高める為だ。決してパンを作っているわけではない。

そして3週間漬け置いた皮はブルーチーズのようにカビだらけの暗黒物質へと錬金されていた。…あゝ失敗だ。我々研究員たちはがっくりと肩を落とす。温度や湿度の管理がまずかったのだろうか、さらなる実験が必要だ。皮革研究会の戦いは始まったばかりである。

反省会の中で「ミョウバンではなく色川茶のタンニンを使えば、100%色川産の革もできるよね」という目から鱗なアイデアが出た。皮革にはたくさんの可能性が秘められている。次回はこのタンニン白なめしを試すことにしよう。

金色に輝くテンの毛皮コートを纏い純白のシカの本革バッグを下げた色川マダム達が、社交場で優雅に紅茶を嗜む。…こんな様子を思い描くのは気が早すぎるだろうか?