老朽化と耐震性の問題に端を発した学校建設は、鉄骨造ではあるが、内外装に木をふんだんに使った温かみのある新校舎が8月に完成し、地域の新しいシンボルとして新たな歴史を刻んでいくこととなった。
旧校舎の赤瓦の趣も継承され、教室は木に囲まれ、また化学物質過敏症にも対応した低アレルギーの材料を使用するなど、自然豊かな山村であり自然に寄り添った暮らしを送る色川らしい校舎となった。
9月1日、2学期の始業式から子どもたちは新校舎での学校生活をスタートさせた。また28日には竣工式が執り行われ、児童・生徒並びに行政・地域の関係者ら約80人が参加した。
色川地区では、40年前から移住者を受け入れ始め、何とか地域を残したいという思いで、多くの人たちが尽力してきた。その成果の一つが新校舎の完成ではないだろうか。
日本全体で進みつつある過疎化と集落消滅の危機のなか、「学校がなくなれば地域がなくなる」という状況に立ち向かった色川地区の取り組みは、他の多くの地域にとっても喜ばしいニュースとなっただろう。
保護者のひとりは、「子どもたちの登校風景をいつまでも絶やすことのないよう、地域の担い手としていっそう頑張りたい」と新校舎の完成に抱負を語っていた。