あらわれた灯篭の謎に迫る

突如として現れた灯篭。そこは神社でもなければ日本庭園でもない。カヤが茂る道の端。

誰が何のためにおいたのか。不法投棄かそれとも宇宙からの使者の仕業か。探偵の血が騒ぐ。

まずは現地調査。うん、いたって変哲もないどこにでもありそうな灯篭だ。ロウソクを置く部分は少し黒くなり昔使っていた形跡はみられる。足元がセメントで固められているところから不法投棄の線は消えた。誰かが意図的に前使われていたところから移動したようだ。

次は聞き取り。近所の住人に探偵と気づかれぬように接触を図る。第一村人「あーあれな、わしも気になっとったんやけどな。誰が置いたんやろうな」手掛かりはつかめない。第二村人「あれは松本の山やから伸一さんやないか」重要な手がかかりになりそうだ。第三村人「あーあれは伸一君や」あっさりと行きついてしまった。しかしなぜ置いたかを知るものは誰一人としていなかった。

本人への聞き取り。探偵ごっこはおしまいだ。

自分「なぜあそこに灯篭を置かれたのですか」

伸一さん「創業者がたてた別荘においとったんやけどな。今度マンションにするっちゅうんで壊すのもったないし持って帰ってきた。那智山にもあるんやであれよりももっと大きいやつ」

自分「またえらい山ん中ですね」

伸一さん「先代は山が好きやったんや。山が見えるところにおいてやったら喜ぶやろ」

松本林業の代々のつながりに感動し、そして灯された火がつながりの道しるべとなって行く、なんてことを考えていた…。

自分「火は灯さないんですか」

伸一さん「あほ、山火事なったらどうするんや」

ごもっともです。