改めて目を向ける色川の史跡・名勝

 昨年度、色川住みよい村づくり協議会(新宅伸一代表)が採択された総務省の過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業。様々の事業が行われたが、その一つとして、小字(同記事参照)看板、及び色川の史跡や名勝等の案内板が制作された。

 史跡・名勝の案内板制作に取り組んだのは色川を語り継ぐ会(田古良元昭会長)。同会は令和3年度より、「色川のどこに何があったのか」をご高齢者から聞き取り、地図上に残していく作業を進めており、その活動の一環ともなった。

 案内板の目的は色川を訪れる方の散策の案内となること、また今これから色川に住む人が改めて色川の歴史に目を向けたり、誇りを持ったりするきっかけとなることだ。

 案内先は、各区と相談の上、地域の治安と訪れる方の安全を鑑みて選定された。「『なぜここはないの?』と寂しく思われる箇所もあると思う。そのような箇所は、住民や関係者内のみへの公開に限った地図に掲載するので、ぜひ声を掛けてほしい」とのこと。設置場所等の詳細は、この4月に発行された『色川だより』でも報告されている。

 坂足区の設置箇所となった大鏡院さんを祀る境内では、毎年旧暦3月15日に執り行われる例祭が5月4日に行われた。今年は準備とお茶の作業が重なり、区民の後呂夫妻は慌ただしいゴールデンウィークとなった。 例祭が始まる前に取り付けた真新しい看板が見守る中、般若心経を唱える。今年は秀子さんの喜寿のお祝いもあり、更に一回。「護符」と呼ばれる赤飯が振る舞われ、厄を分かち合った後、籠ふるさと塾に移動。改めて、集った西部住民らに盛大に餅がほられた。ここ数年は、餅ほりはふるさと塾で行っている。休日のこともあり、他区の子供や若者も参加。若者たちは「後呂さんの般若心経がかっこいい」と同じ感想を漏らした(色川中の様々な行事で唱えられる般若心経をぜひ聞いてほしいものだ)。また、長澤美和さんは「境内までの山道がきれいで、日々守っている人の存在を感じた。」という。

 この事業は、人口減少・高齢化で減退する集落機能の維持と活性化を支援するもの。しかし、こうして人が寄って賑わう様子を目の当たりにすると、何より大切なのは物より仕組みより、日々の暮らしで顔を合わせ、共に笑うことかもしれないと、楽しかった餅ほりを思い出しながら、感じた。