人と人との出会いを結ぶ 、色川盆踊り大会

平安時代の踊念仏に端を発し、お盆の行事と結びついて死者を供養する行事となった盆踊り。江戸時代には全国に広がり、地域の人々の交流の場になっていったという。

今年も、盆踊り保存会(松村光隆会長)主催の盆踊り大会が、8月14日に円満地公園オートキャンプ場で開催された。青年会による生ビールや焼きそば、唐揚げ、備長炭で焼いた焼き鳥など多彩な屋台料理、色川たべものがかりによるおでん、口色川区・岡口努さんによるスモーク料理など、テントにはおいしそうな料理が並ぶ。輪投げや金魚すくいのテントでは、子どものはしゃぐ声が響く。

盆踊り保存会の皆さんによる唄が始まると、数人で始まった盆踊りの輪にひとりふたりと人が加わり、少しずつ大きくなっていく。色川でずっと踊ってきた住民は、やはり拍の取り方や手の動きのなめらかさが違う。最近越してきた人や初めて盆踊りを見た人も、見様見真似で、一生懸命踊っていた。

今年は、盆踊り保存会から新たな唄い手3名が本番デビューをすることに。口色川区の安田裕志さん、城村裕次さん、大野区の吉田創さんだ。少々緊張した様子で始まりを待っていたが、歌が始まれば堂々とした唄いぶり。色川盆踊りを後世へ残していくためにも、とても重要な日となった。

盆踊りを眺める観客には、90歳を越える人も。普段は和歌山市に住み、お盆で帰省して、今回息子夫婦と初めて色川盆踊りに参加したという。普段あまり外出しないそうだが、この日は2時間以上会場で楽しみ、「これから輪が大きくなっていくんだぞ!」とお嫁さんに教えるなど、元気な姿を見せていた。色川に帰ってきた人も多く来場し、会場のあちこちで「久しぶりやな!」という声が聞こえる。同級生と話す姿は、10代も60代も皆、溌溂とした笑顔で、学生時代を垣間見たような気がした。

江戸時代から考えれば、祭りのかたちは変わっているだろう。だが、そこに集う人の思いは、200年経っても変わらない。インターネットで連絡が取れる現代だからこそ、直接出会える場がいっそう貴重になっている。必死に次の動きを目で追いながら、頭の片隅で、そんなことを思った。