坂足を見守る大鏡院の祭典

大鏡院

毎年坂足区では、旧暦の3月15日(今年は4月21日)に大鏡院の祭典が行われる。

籠から坂足方面に向かい、車を走らせること5分ほど。車道の右手に階段が見えてきて、そこに大鏡院の案内板が設置されている。そこから5分ほど杉林を登っていくと、見えてくる石垣。その上に、大鏡院のほか、妻や付き人か子どもといわれている計4つの石碑が、すっと建っている。

当日は、餅や酒、唐辛子を供えたのち、柏手を打って、参加者全員で般若心教を唱える。繰り返し般若心教を唱え、平穏無事や厄年の厄払い、祝い年の祝いを思い思いに祈った。唐辛子を供えるというのが珍しいが、厄除けの意味があるそうだ。大鏡院の祭典では必ず供えるものだという。また、「護符」と呼ばれる赤飯を分けて食べるのも、大鏡院の作法。これには、「みんなで厄を分けて持つ」という意味があるらしい。

雨の心配もあったので、餅ほりは、籠ふるさと塾に場所を移して行われた。籠の住民なども多く参加し、餅や菓子がこれでもかと盛大にまかれた。

山伏だったともいわれる大鏡院には、干ばつのときに雨を降らせたり、赤痢が流行したときに坂足を守ってくれたりと、いくつかの伝説が残っている。篤い祈りと大鏡院の存在は、今なお地域を温かく守っている。

大鏡院