それぞれの思いを乗せて-色川盆踊り大会-

盆踊り

毎年恒例の色川盆踊り大会が、8月14日に円満地公園で行われた。例年この時期降る雨が心配されたが、当日は気持ちのよい晴天。午後6時ごろから続々と人が集まった。来場者には、そろいの浴衣を着た歌い手・踊り手の方はもちろん、めいめいの浴衣に着替えた子どもたちも多く、会場はじつに華やかな雰囲気。音頭が響き出すと、ひとり、ふたりとおもむろに踊り始め、次第に大きな輪が広がった。

盆踊りは、迎えた先祖の霊を慰め賑やかに送り出す意味があるそうで、その音頭や踊りは供養でもある。一つ拍子、二つ拍子、三つ拍子と拍子が変わる色川の盆踊りは、踊り続けると何とも言えない高揚感が生まれ、「祈り」にも通じているような気になる。そして、何よりの魅力である生の歌声には「先祖の霊を慰める」というのが納得できる、豊かな響きと心地よさがある。

盆踊りを彩るのは、音頭や踊りばかりではない。焼きそば、唐揚げ、かき氷を始め、鹿肉コロッケ、トッポギ、カレーに薫製、真夏のおでん、それに金魚すくいや的当てなど、青年会や住民有志の多種多様な夜店が出店。どこも列ができるほどのにぎわいで、来場者は楽しそうに夜店を回っていた。

地域の行事は、盆踊りに限らず地元の方々が子どものころから参加し、やがて担い手として脈々と受け継ぎ守ってきたもの。その土台があればこそだが、来場者の中には、色川を離れたがこの時期にふるさとに戻ってくる、という方も多いだろう。その方々にとっても盆踊りは、心の拠り所として大切な行事に違いない。また、移住してきた方々にとっても、文化を肌で感じ、思いをはせることができる、とても貴重な場だろう。

そして何より、今年も盛大に開かれた盆踊りを見て、先人たちは安心して帰ることができたのではないだろうか。それぞれの思いを温かく包んで響いた歌い手の音頭と、祈りにも似た踊り。この色川盆踊りが、末永く継承されていくことを願わずにはいられない。

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