昔と変わらぬ五穀成就への祈り 小阪区斎講

忙しい田植えが落ち着いてきた6月10日、小阪区の南泉寺で斎講(ときこう)が行われた。小阪の斎講は毎年6月10日に行われ、水の神様である「八大竜王」を杉の皮に記したもの、「風雨順調」「五穀成就」を記した紙を甘竹に挿したもの、ギボウシと呼ばれる植物の葉で包んだおにぎりが供えられる。作物の成長に大切な水の安定と作物豊穣を祈っている。

朝早くから20人ほどが集まり、それぞれお参りを済ませた後、午前10時頃に南泉寺と同じ臨済宗妙心寺派である円心寺の住職が来られた。「コロナ禍がようやく落ち着いてきて、今日はマスクを外してお祈りさせていただきます。」と挨拶があり、読経が始まった。経は4種類あるそうだが、その柱となる般若心経が読まれているとき、合わせて小さく唱えながら祈る住民もいた。途中で住職から声がかかり、住民1人1人が列になってお焼香をあげた。

 読経が終わると、寺の向かいにある「ほうじの丘」に移動。その丘にある経塚で再び読経されお参りをする。住民は経塚にお米を供えて、しきみで水をふりかける。住民の方々に昔の斎講との違いや変化はあったかと伺うと「昔と変わらんよ。毎年同じように行っている。」と同じ答えが返ってきた。コロナ禍でもとくに変化はなく、例年どおり行われていたようだ。経塚には「寛政十二」の文字があり、これは1800年ちょうどを指している。江戸時代からの経塚が現在でも「生きた文化」として存在していることに大きな意味があると感じる。昔から変わらず毎年行ってきた積み重ねによって「生きた文化」が令和に残っている。

 お参りを終え寺に戻ると、お酒を交えた歓談に。2時間以上の盛り上がりだった。宴会が終わると、住民は3つのお供え物を持ち帰り、それを田んぼの水の引き込み口に供える。水の神様である竜が小阪の棚田を守る。 改めて感じることは、小阪の伝統行事が地元の方々によって受け継がれているということ。変わらぬ伝統でも、「昔は今の2倍以上参拝者がいた。人が少なくなった。」という声を聞く。移住者が多くなる中で、特色ある文化をいかにこれからも積み重ねていくことができるだろうか。