那智勝浦FCがサッカーの“聖地”で合宿

「パス、パス、こっち!」「感じろ!感じろ!」
普段は静寂に包まれている山上のグラウンドに、サッカーボールを追う子どもたちの声がこだましています。夏休みを目前に控えた7月17日、那智勝浦FC(野生孝正監督)の4・5・6年生25人が、町立籠ふるさと塾で合宿を行いました。
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今年で3回目となるこの合宿、籠ふるさと塾で行うのには理由があります。近さ、安さ、環境のよさだけでなく、野生監督の新宮高校時代の恩師である籠出身の大前靖(じょう)先生への“お墓参り”の気持ちも込められているのです。

「この籠地区は、熊野、いや日本サッカー界の“聖地”といえます。日本サッカーの生みの親、那智勝浦町出身の中村覚之助先生と同様に、現代サッカーの基礎の構築に貢献した大前先生の功績も日本サッカー界になくてはならないものでした。僕自身は先生に教えてもらったことを伝えるだけです」と野生監督。

ところが、そんなノスタルジーなどおかまいなしに、現代の選手たちは、日が暮れるときもだめしをしたり、演芸大会で監督やコーチのものまねをしたりと、おおはしゃぎで夏の思い出づくりに余念がありませんでした。きっと大前先生も、必死にボールを追う少年や、きもだめしで泣いてしまった少年を、空から眺めながらほほえんでいたことでしょう。
(執筆:とばやん)

籠ふるさと塾のグラウンドで練習する那智勝浦FCの選手たち