色川百姓養成塾の活動に都会から参加

夕日に照らされた小阪区の南泉寺。住民代表による読経の中、30人ほどが輪になり、大きな数珠を回しています。住民に混じり、大学生や小学生の姿も見えます。8月23日、小阪区の伝統行事・地蔵講が行われ、東京からやって来た大学生の高根夏美さんと新井かすみさん、大阪から来た西眞由美さん・勇斗君親子の4人も参加しました。
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4人は「色川百姓養成塾」(西浦完治代表)の短期塾生として色川を訪問。同塾は、「むらの暮らし」の知恵や技術を受け継ぐ人材の育成を目指し、都会から若者を受け入れて、昔ながらの暮らしについて聞き取り調査をしたり、伝統行事に参加したり、さまざまな百姓の技を習う活動を行っています。若者にとっては、「むらの暮らし」の価値を肌で感じ、「限界集落」問題を自らのものとしてとらえるきっかけとなること、集落住民にとっては、若者に語ることを通して、「むらの暮らし」の価値を実感し、自信と誇り、集落を次へつないでいく気力を取り戻すきっかけとなること、さらに、それぞれの立場から、今後「むらを次につなぐ」ための活動が起こることを期待しています。

今回参加した塾生はそれぞれ4日間?2週間ほど滞在し、小阪区民の協力のもと、地蔵講への参加のほか、わらぞうり作りや郷土料理作り、農作業、聞き取り調査などを行い、それらを通じて住民と交流しました。

地蔵講は、地蔵菩薩を祭る行事で、子どもを守護する仏であることから、特に子どもの健やかな成長を願うもの。大数珠を回した後は、皆でご詠歌を詠い、その後、準備しておいた「だんご」(おはぎ)をいただきながら歓談します。このだんごは、妊婦さんに食べさせるとよいと昔から言われているそうです。そのうち、盆踊りが始まり、寺の外で踊りの輪ができる。塾生たちも参加して、見よう見まねで初めての色川踊りを体験しました。

西さんは、「貴重な行事に、地元の方々に温かく迎えていただき、古き良き日本の姿を体感できました」と満足した様子。新井さんも「近所で集まって何かすることはめったにないので、にぎやかでなんだか懐かしい気持ちになりました」とのこと。

24日は、松木繁明さんの案内で、かつて農作業のために小阪区から口色川区へ通っていた山道を歩き、今では杉が植林されている棚田跡や、色川氏ゆかりの墓、途中の鉱山跡などを見学しました。また、25日には大前一枝さんの指導のもと、わらぞうり作りを体験。ほぼ一日かけてそれぞれ1足を仕上げました。

最後の報告会では、「地元の人たちとの交流機会が多くてよかった。もっとゆっくり時間をかけて滞在したかった」(西さん)、「むらの状況をそのまま見せてくれたことがよかった。学生は就職活動が始まる前に長期で滞在して、体験したほうがいいと思う」(高根さん)と感想を残しました。
(執筆:たき)

地蔵講で大数珠を回す塾生たち