籠の放置林を伐採

国産木材価格の低下、木材の使用低迷、材木輸入の簡便化、人件費の上昇…。現在、日本各地で杉桧の山が放置されており、ここ紀州においても放置林や利用されない木材が問題となっている。–pagebreak–

「昔、山は良かったんや」
色川に来てから幾度と聞いた言葉である。実際に人家のすぐ裏に植えられた木々や、山の中の「こんな所にまで植えたのか」と感心させられる木々を見ていると、この木々を植えた先人の「思い」を感じ取ることができる。

元々は山だった場所を開墾して住居や農地を作っていたが、今はすべてが人工林へと姿を変えてしまっている。籠ふるさと塾(旧籠小学校)の裏山にもたくさんの杉桧が植えられており、樹齢約40年といったところだろうか。

その付近の住民は、日照時間の短さや倒木の危険と隣り合わせで日々を送ってきた。そんな生活環境を改善しようと、籠の林業者の住民が山主から許可を取り、30本ほどの木を切らせてもらうことになった。

籠ふるさと塾から2メートルのところに植えられていた木々は、切り倒す方向を絶対に間違うことができず、電線なども考慮しなければならない困難な作業であった。「この木はあの木の間に倒そう」「この木はあっちへ」と、慎重にワイヤーなどで倒す方向を決めながら、丸一日かけて無事に切り終えることができた。

しかし、伐採された木々はこのまま腐らしておくしかなく、「もったいない」の一言である。こうした木はあちこちに文字通り「腐るほどある」。山林の放置は、獣害や災害の原因ともなっており、早急な対策が求められている。(ざっきー)

籠ふるさと塾に密接する木

伐採して明るくなった