こだわりの手作り梅製品はいかが?

農産物加工団体「耕人舎」(原和男代表)の梅加工が最盛期を迎え、口色川にある加工場がむせかえるほどの香りに包まれています。きびきびと働くスタッフは30~40代の女性が中心で、ここが過疎に悩む山里であることを忘れさせます。
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耕人舎は、梅やゆず、キウイを用いて、ジャムやジュースを製造しています。原料は、色川と周辺地域で農薬・化学肥料を使わずに栽培された果実のほかは、種子島産の粗製糖のみ。保存料などの添加物は一切使用せず、丹念に手作りするのが創業以来のこだわりです。

収穫・加工に携わるスタッフは色川に住む15人。原料梅の買い取りも、色川住民の収入源の一つとなっています。工場長の吉田澄恵さんは「今年、他産地では梅が不作のようですが、色川の梅は豊作です。おかげで作業も大変ですが、スタッフは皆、子育てや田んぼの作業の合間を縫って時間を割いてくれています」と話しています。

「耕人舎」は、そもそも33年前、色川に最初に入植した移住者たちのグループ名。有機農業を基盤とした生き方を模索する中で、山村と都市を結ぶ株式会社を立ち上げました。メンバーの自宅を加工場として、くどに薪をくべてジュースやジャムを製造していましたが、今では株式会社は解散し、関わる顔ぶれもすっかり変わりました。

現在の製品は、梅エキス(希釈用ジュース)、梅ジャム、ゆずマーマレード、キウイジャムの4種。より充実した加工場を目指して、ゆずエキスやレモンジャムなどの試作にも取り組んでいます。

製品は、周辺地域のAコープや土産物店に並ぶほか、「らでぃっしゅぼーや」などの自然食品を扱う流通業者を通じて全国の顧客のもとに届けられます。個人客への直販はケース単位(エキスは6本、ジャムは12個から)ですが、それでも「お取り寄せ」するファンがいるほど。「白く精製していない粗製糖を使っているので、製品は時間とともに褐色になりますが、果実本来の味と香りが生きていて、食べ続けても飽きません」と吉田さん。

今年の梅ジャム製造量は2500個程度、梅エキスの漬け込み量は5トンに及び、加工作業のピークは今週いっぱい続きそうです。製品の問い合わせは、0735-56-0907まで。

(執筆:スノッチ)