熊瀬川の伝統行事

ひときわ厳しい「寒」が明けた立春の日、熊瀬川区で金光明最勝王経一字一石塔の会式が行われました。
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この石塔は、「金光明最勝王経」の経文を一字ずつ小石に書き写して地中に埋め、その上に建てた石塔で、天保14年(1843年)に建立されました。会式は、昔から毎年2月4日に営まれ、ご先祖様を供養し、先人への感謝の気持ちを忘れないという意味が込められているそうです。

午前10時に熊瀬川区の寺「両谷庵」に集まった大泰寺の香至義正住職と熊瀬川の区民らは、野菜、果物、餅、米などを持ち、歩いて一字一石塔に向かいました。石塔に着くと、お供え物を並べて、ろうそくを灯します。参列者は手に線香を持ち、住職が読経した後、一人ずつ線香をあげて、ひとつまみの米を供え、榊で水をかけ、お参りしました。

全員の参拝が終わると、お供え物を持って両谷庵に戻り、境内にある、文化11年(1814年)に建立されたという法華塔を、先ほどと同様に参拝しました。その後、両谷庵の中へ移り、男性区民の参列のもと、住職が本尊に経を唱えました。

女性たちは、法要の後に行われる斎講の食事を準備。住職を交えて、皆でぜんざい、おまぜなどの食事をとり、和やかなひとときを過ごしました。

この日の参列者は12人。人口が減り、若者が限られる中、こうした伝統行事を継承していくことは容易ではないですが、むらを築き、守ってきた先人たちに感謝し、その思いを受け継ぐ行事が続けられていくことを願います。

参拝する住民たち