小阪の伝統行事「地蔵講」

色川の中でも移住者の少ない小阪集落には、昔ながらの風習が多く残り伝わっています。8月23日には村の寺、南泉寺にて「地蔵講」が行われました。–pagebreak–

地蔵講は夕方の6時から始まりますが、寺役の方々が、朝7時から準備を進めています。

団子作りを手伝うことに。団子といえば、上新粉や白玉粉で作る、いわゆる月見団子のようなものを思い浮かべますが、ここ小阪では、炊いたもち米を搗くことなく飯粒のまま丸め、こしあんをまぶしたものを団子と呼びます。

ぼたもちに似ていますが、団子のように小さく丸々しています。冷めたらもう一度丸め、形を整えます。夕方、もう一度丸め直し、あんこの形を美しく整えるといった手の込みよう。いくらでも食べられそうな可愛らしさです。

この団子をいただくと安産のご利益が得られるとのこと。高齢化が進む小阪では、安産を願うお年頃の女性はいません。それを思うと少々せつなくもなってしまいます。

いつもは納められている延命地蔵尊を開帳し、その前で村人は車座になり、大蛇のように大きな数珠をみんなで回しながらお経を読みます。鉦(かね)に合わせてお地蔵さまのご詠歌を唱えます。願いは子孫繁栄でしょうか。

詠吟を終えたら団子を食べ、振る舞い酒をいただきながらの談笑。田畑の出来、猪や鹿への対策、昔のこと、これからの小阪のこと、話は尽きません。やがて、境内で盆踊りが始まります。

夕闇の中、おばちゃんたちが娘に戻ってゆきます。
(執筆:日央子)

大きな数珠をみんなで回す

夕闇の中で盆踊り