「柿漬け」作りを伝授

「昔、柿をこんなに潰すのはもったいない!って怒られると思って隠れて潰したんよ」
そう語る久保積野さんは、色川で「柿漬け」を作って数十年になります。–pagebreak–

「柿漬け」と聞くと、柿を漬物にすると思ってしまいますが、正体は「大根の渋柿漬け」と言ったほうが伝わりやすいでしょう。その柿漬けは色川内でも数人が作る程度で、“幻”と言っても大げさではないですが、取材の申し込みをすると、「大根と塩持ってきたらいつでも教えてあげる」と気さくに伝授してもらえることになりました。

まずは、前日に準備した大根の重さを量り、同量の渋柿を採ってきます。「今年ほど柿がよく実る年はないねぇ」と積野さんが語るほど今年は柿がよく実っているので、苦労なく12キロほどの渋柿を採ることができました。

「ヘタやらも取って漬けたほうがおいしいと思うんやけども、何もかも掘り込んだるんや」と、採って来た柿をそのまま袋に入れてバンバンと簡単にたたきつぶし、桶に移して、粗塩を1キロ入れて混ぜます。

塩の分量について質問すると、「最初作った時は大根10キロに塩は500グラムで作ったけど、薄い気がして最近は800グラムぐらいで作ってる」と惜しみなく秘伝を教えてくれました。

そして、桶に潰した柿を少しひいてから大根を並べると、「細い大根のほうが、漬かりよいねぇ」と言いながら、柿・大根・柿・大根とサンドイッチ状に重ねて終了。

「1カ月置いたら食べれるっていうけど、まぁ正月まで寝かすねぇ」と集まった弟子たちに語ると、自家製の合わせ柿を振る舞ってくれました。

テレビでも2回紹介され、旅館やホテルから問い合わせがありましたが、そんなにたくさん作れる物ではないといいます。「柿だって出来の悪い年もあるし・・・この時期に大根できてないし、大根買ってきて漬けたら1本すごい値段になってしまうよ」と商売っけはない様子。じゃあ我々が・・・とニヤリとした弟子たちでした。
(執筆:とばやん)

渋柿を袋に入れてたたきつぶします

大根と柿を重ねて漬けます

~作り方~

1 大根は軽く洗い葉の部分は切り落としておく。
2 大根と同量の渋柿を袋に入れ軽く潰す。
3 潰した渋柿に8%程度の粗塩を入れ混ぜる。
4 桶に3で作った渋柿と大根を交互に重ねる。
5 渋柿と同量か少し重い程度の重しを乗せる。
6 1ヵ月以上、涼しい所で寝かせる。
※ 食べる頃合になったら、浮いてる水は捨てたほうがよい。