富士山最遠望に挑む

氷点下2度。夜明け前、満天の星が瞬く極寒の那智高原公園に、色川通信局のメンバー4人が集まりました。そこから車と徒歩で約30分。目指すは、富士山日本最遠望の地です。
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「色川から富士山見えたら、ネタになるんちゃう?」
正月も明け、記事のネタが切れ気味の状況から、メンバーの何気ない一言で決まったのがこの企画。かねてから色川は富士山最遠望の地といわれていますが、メンバーの誰もまだ見たことはありませんでした。「見えたらラッキー。見えなくても話題にはなる」ということで、周囲の失笑を買いながらも、早朝5時半に出発しました。

道中、つららも発見するほどの厳しい寒さに耐えつつ、その場所に到着したのは、熊野灘がまだかすかに明るくなり始めたころ。説明看板には、富士山からの距離322.9キロとあります。妙法山にも富士山が見える「富士見台」がありますが、そこは322.6キロなので、こちらのほうがわずかに遠くなります。

看板によると、「1年のうちに数日、時期としては、朝の最低気温と海水温が等しいころ(4月から6月、9月から12月)、台風の後などの非常に空気の澄んだ日の、日の出前約30分間と条件は限られますが、肉眼ではっきりと確認できます」とのこと。

しかし、富士山が見える方角に矢印の看板も立てられているものの、周囲に木が茂っていて、熊野灘が見える空間はわずかしかありません。メンバーは不安になりながら、次第に明るくなる海の向こうに目をこらしました。

「あの、ぽこって出たあるの、富士山っぽくない?」
「いや、あれは雲やろう」
「その下になんとなくうっすらと見える気がする」
「見たいという思いが幻影を見せてるんかも・・・」

しばらく眺め続けていましたが、誰もはっきりと富士山を確認できないまま、日の出が迫り、時間切れに。今回は残念ながら確認できませんでしたが、「今度は台風の後に来うら」と約束し、その場をあとにしました。富士山が見えた日には、また報告します。
(執筆:たき)

富士山が見える方角。メンバーは、眼前の生い茂る木を切りたい衝動に駆られました

はっきりと富士山が確認できず、うなだれるメンバー