禅定林寺でギターライブ

 あーーーいい天気!今日もステキな一日が始まるなっ。そんな予感に満ちた11月4日の朝、一年ぶりに中島裕次郎が色川禅定林にやって来た。裕次郎さんはカナダに住む七弦ギターの奏者。厳寒のバンクーバーを逃れての冬期日本ツアー、今年は40日間の滞在で28カ所。日本各地いろいろ行った中でも、色川の秘境度はナンバーワンだって。長野善光寺の敷地内で育った彼は、お寺での演奏はホームグラウンドのようと笑顔で話す。

 色川公演、今年は昼夜二回。七弦ギターとウクレレを抱え、彼は、私たちを旅に連れ出す。カナダ、コロンビア、ベネズエラ、アイルランド、メキシコ、イギリス。カナダの仲間たちから教えてもらったそれぞれのお国の音楽たち。七弦ギターでアレンジした富山の民謡こきりこ節に日本人のDNAが疼く。そしてラスト、七弦の特性が遺憾なく発揮されたブラジル曲。美しい旋律の礎として延々と連打される低音の一音が人々を瞑想へ誘う。ギターのテクニックがどんだけ凄かろうとそんなことわかんない。けれど、目を閉じると粉雪のように降ってくるキラキラの群れ。

 会場を提供してくれた禅定林の祖融さん祖心さんは、自分たちが一番楽しませてもらったよ、みんなの笑顔が何より、とニッコリ。帰り道、杉林に垣間見えた橙色に輝く半月が、この一日を祝福していた。