山林化・獣害を防ぎ、明るい村に

口色川の集落を見下ろす宝泰寺。周辺は草木が青々と生い茂り、道も埋もれてしまっているほどです。その中から、チェンソーの音が響き渡り、あっという間に大きな柿の木が豪快に倒れました。手際よく細切れにすると、続いて2本目の伐採に取り掛かりました。
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7月6日、「色川を明るくする会」(新宅伸一代表)が集落内の木の伐採を行いました。色川では、数十年前まで棚田や野原だったところに杉・桧が植えられ、成長して山林と化し、民家に迫りつつあります。「昔はもっと明るかったよ」と地元のお年寄りたちが口をそろえる集落は、木々がうっそうとし、かつての姿は失われたようです。台風時には、民家や道路への倒木、土砂崩れの被害も及んでいます。

また、過疎・高齢化により、放置された果樹や雑木、休耕田などが増え、サル・イノシシ・シカなどが人里に下りて来るようになり、農作物への鳥獣害の問題が深刻です。口色川区では、連日のように、サルの群れが現れ、丹精込めて育てた野菜が全滅したという話が跡を絶ちません。

同会は、こうした山林化や獣害を防止し、村を明るくするために活動を開始。所有者の了解を得ながら、農地や民家に接近した杉・桧、雑木、柿・栗・びわなどの放置果樹の伐採を進めています。伐採されたところは、住民から「明るくなった」「きれいになった」と喜ぶ声が聞かれ、「あそこを伐ってほしい」という要望も寄せられています。

代表の新宅さんは「昔は住民が互いに気遣い、山道や川辺の草刈り、水路の保全など、村の景観を守っていたように思う。自分たちも、色川に住んでいた人が帰ってきて生活できる村を保っていきたいし、色川を訪れた人がこんな村に住みたいと思うような、明るい村づくりに取り組んでいきたい」と意欲を語っています。
(執筆:たき)

「色川を明るくする会」の活動で、柿の木を伐採する岡口努さん。新宅さんが那智営業所長を務める松本林業(株)も協力しています