11月7日、田垣内区の山祭りが行われた。山祭りとは、山の神様をまつるお祭り。
山祭りは全国各地にあり、神様の性格やお祭りのあり方も様々ある。ここ田垣内では、山仕事をす
る人が中心となり執り行なっている。一年無事に仕事ができたことへの感謝と、来年の安全祈願を
するのだ。
お昼ごろ、開山神社前の道路に田垣内の住民達が集まった。集落から山に入る小さな道があり
、一列になって山の中に入っていく。木漏れ日のさす雑木の道を5分ほど登って行くと、山の神の
祠がある。祠が置かれた、土が平らにならされた空間は女人禁制。と言うのも、山の神は女神で、
容貌がよくないので嫉妬深く、山に女人が入るのを好まないと言われているからだ。
お供えものなどの準備が整うと、皆地面に膝をつき、代表者が般若心経を唱える。お経が終わる
と、祠の前で餅ほりが行われた。
山を降り、再び開山神社に集合。今度は女性も参加してお参りをし、全員参加で餅ほりが行わ
れた。
この日、籠の菊地さんのお宅でも山祭りが行われている。山仕事の親方をしていた菊地さんの
家には山の神が祀られており、年に一度この日だけご開帳される。
昔から山の神様を祀っていた訳ではないという。菊地さんが現役時代、ある時怪我が続いていた
。その時とある宮司さんに、山の神様を祀ってみろと言われた。試しに自分でこしらえたものを祀っ
てみたところ、以後怪我が減ったそうだ。それから宮大工さんに作ってもらい、家で祀り始めたとの
こと。
山祭りの日は、木はもちろん、枝の一本も落としてはならないと言われる。山の神様が木の本数
を数えるから、と言われているが、菊地さん曰く、「音を出さんで休めということ」。危険と隣り合わせ
の山仕事。この日はきっちり休んで、仕事仲間でご飯を食べ、お酒を飲む。
今年も、林業に従事している人、炭焼きの人など山に関わる仕事している人、そして籠の住民達
が菊地さん宅の離れに集まっていた。
昔は大野、口色川、小阪からも山仕事の人たちが、菊地さんの家に集まって宴会したそうだ。あ
るときはお酒8升が無くなっていたとのこと。
今回、記事作成にあたり、菊地さんに色々と話を聞かせていただいた。何か一言いただけませ
んかと言うと「昔みたいに飲みたいねえ」と一言。
鍋を叩いて歌い出したり、山祭りから3日間宴会をし続けたこともあったらしい。聞いているだけ
で、面白おかしい山祭りの様子が頭に浮かんできた。