獣害を考えるジビエ体験ツアー

ジビエ

ジビエ体験ツアー

色川地域協議会(新宅伸一会長)は12月6・7日に獣害体験ツアーを開催した。11月に行われたツアーとは少し色を変え、ジビエ(狩猟によって捕獲された野生動物の肉)料理をテーマに鹿の解体から食すところまで行った。

ツアーには大阪や京都から5人が参加し、彼らの訪問とともに寒波もついてきた。ある程度の寒さは覚悟していたようだが甘く見たようだ。

鹿の解体やジビエ料理体験は山の中の一軒家で行われた。さぞ寒かろうと向かった一行は山の間から顔をのぞかせる太陽に安どの表情を浮かべていた。解体が始まると真剣な表情で説明を聞き、指導を仰ぎながら鹿と対峙していた。しかしそのナイフを持つ手は震え、寒さを隠せてはいなかった。

鹿の解体を終え、鹿肉を使ったジビエ料理体験に取りかかる。まず熟成鹿肉のステーキの試食。参加者は熟成鹿肉の作り方や鹿肉の特徴などの説明を外で受けながらステーキの出来上がりを待った。

2分後、出来上がったステーキがまな板の上にきれいに並べられた。震える手で口の中へ持っていく。その瞬間、皆開いた口がふさがらなくなった。とうとう凍ってしまったのかと誰もが思った。次の瞬間、満面の笑みを浮かべ次から次へと肉をほおばる。あっという間にまな板の上の肉はなくなってしまった。皆の寒さを吹き飛ばしたのは太陽ではなくジビエだったようだ。

料理体験では、スジ肉をおいしく食べる鹿シーチキンなども紹介され、参加者は関心を持って聞いていた。

体験では講師それぞれの鹿や鹿肉に対しての考え方なども聞くことができ、参加者にとっていい機会になったのではないかと思う。翌日には檻に鹿が入り止め刺しも見学した。

参加者は「できるだけ殺さない方法を考えたいですが、獣害があるので多少はやむを得ないのかなと思いました」「ただスーパーに並べられた肉は物として見がちだが、今回このような体験をしたことによって物ではなく命なんだと思うようになると思います」と話していた。皆の感じ方はさまざまだが、一人でも多く獣害や肉の流通の現状などを知ってもらいたい。

(はらひろ)