小水力発電の学びスタート

色川の暮らしの中には水の音がある。畑仕事の手を休めると川の声が聞こえてくる。

色川が人を魅了する一つに、この豊かな水の流れがあるのではないだろうか。蛇口をひねれば、太田川の水源の水を飲めるなんてぜいたくだなあと都会育ちの僕はいつも思う。

那智の山々に降った雨は、森の栄養を運びながら色川の棚田や集落をうるおして、果ては熊野灘・太平洋へと注ぎ込む。人を含めてあらゆるいのちはこの水によって生かされている。

  この水の流れの一部を使わせてもらって暮らしの電気をつくれないだろうか。人や自然との調和を目指す色川地域振興推進委員会の共生圏班は、活動の一環として小水力発電を模索しています。環境負荷が最も小さい発電方法と言われているので、環境問題の解決モデルになるのではという思いからです。一昔前まで集落のあちこちにあったという精米用の水車の復活にも思いを馳せつつ、現代版の水車をつくって電力自給を目指せたらと。

地域内で資源が循環する町づくりに取り組んでいる那智勝浦町とそのアドバイザーとして関わっている専門家の方と協同していけることになり、実現への道が開かれました。

まずは100~150Wぐらいの小さな発電機を自分たちでつくることを目標にした学びの場が始まりました(直径約4㎝の黒パイプで高低差約20m確保するイメージです)。第一回の11月14日は、午前は小水力発電のイロハを学ぶ座学、午後は集落を歩きながら、設置可能な場所を探し、「水道タンクの余り水が使えそう」「こっちの川の方が水量が取れるよ」などと、みんなで知恵を出し合いました。 色川の水を飲んで、田んぼに引いて、将来は家の明かりがこの水で灯っていることを夢見ています。